クレンジングの種類と油脂系クレンジング

クレンジングの種類

クレンジングの種類には以下のものがあります。

  • オイル
  • バーム
  • クリーム
  • ミルク(乳液状)
  • ジェル(油性/水性)
  • リキッド
  • 拭き取り(シート)

同じ種類に属するクレンジングでも商品によって洗浄力やメイク落ちは大きく異なり、メイクとの相性によって選択する必要があります。

沢山の種類があるクレンジングですが、大別すると油性クレンジングと水性クレンジングの2つに別れます。

油性クレンジング

ほとんどのメイクは油性成分でできています。油と水は混ざりませんが、油と油は混ざるという性質を利用して、油性成分でメイクを浮かせて落とすのが油性クレンジングです。

溶剤型クレンジングとも呼ばれ、クレンジングオイル、クレンジングバーム、クリーム・ミルククレンジング、油性ジェルクレンジングなどが油性クレンジングに分類されます。

なぜクレンジングでメイクが落ちるの?

油性クレンジングは、メイクの油とクレンジングの油が混ぜることでメイクを浮かせ、水で洗い流す際に「転相(てんそう)」という現象を利用してメイクを落とします。

転相とは、界面活性剤の力でW/O(油が外側で水が内側)→O/W (水が外側で油が内側) 、もしくは、その逆に変化することです。

すすぐ際にO/Wに転相して外側が水の層(親水基)になるため、簡単に水と一緒に流れていきます。

オイルクレンジングとクレンジングバーム

オイルやバームはW/O設計で作られており、外側が油の層でできているため、メイクとすぐに混ざって浮かせることができます。その後、水で洗い流すことにより、W/OからO/W への転相が起こるため、クレンジング成分とメイク成分が水と一緒に洗い流されます。

オイルやバームは、メイク馴染みが最も良いため、短時間でメイクを落とせるという特徴があります。

石油から作られている安価なミネラルオイル(鉱物油)が主成分のクレンジングオイルは、脱脂力が強すぎて肌に悪く、油脂(植物油)は肌に優しいとよく言われますが、実は、鉱物油でも油脂でも、一般的に同等の界面活性剤量と、同等のHLB値(界面活性剤の親水性と親油性のバランス)のものを配合して設計することができ、脱脂力もある程度はコントロールできます。一概に鉱物油だから悪い、油脂だから良いとは限りません。

一般的に鉱物油は油脂よりも肌への親和性が低く、皮膚に膜が張るような感覚が残ることがありますので、それをなくすために必要以上に洗浄してしまうと、肌への負担になってしまうケースがあり、こすり過ぎには注意してください。

鉱物油にも油脂にもそれぞれメリットがあり、高い精製度のミネラルオイルは、酸化しにくく安定性が高いというメリットがあります。油脂は、ミネラルオイルと比較すれば酸化しやすい(これも油脂の種類によって大きく異なりますが)のですが、肌への親和性が高く、植物油の持つ抗酸化作用などが期待できることがメリットの一つです。

クレンジングクリーム、ミルク、油性ジェル

クリームやミルク、油性ジェルはO/W処方が多く、肌の上でクルクルとマッサージすることで、O/WからW/Oへ転相が起こり、メイクが浮いた状態になります。その後は、すすぎの水分でW/OからO/Wへ転相が起こり、洗い流されます。

マッサージが一定時間必要なことや、オイルやバームよりも油性成分が少ないことから、一般的にはオイルよりもメイク落ちが悪いとされていますが、クレンジング力を高めた商品もあり、製品によって洗浄力に差があります。

ちなみに、ジェルタイプのクレンジングには水性ジェルと油性ジェル(ジェルオイルクレンジング)があります。ジェルオイルクレンジングには、トリエチルヘキサノインやエチルヘキサン酸セチルなどのエステル油が配合されており、油性成分でメイクを落とす作用はクレンジングオイルと同じ仕組みです。また、一般的に、ジェルオイルクレンジングとクレンジングオイルの界面活性剤の配合量は同等です。

水性クレンジング

水性クレンジングは、オイル成分が配合されていないため、界面活性剤の力でメイクの油と水を混ぜて落とします。

界面活性剤型クレンジングとも呼ばれ、クレンジングジェル(水性)、リキッドクレンジング、拭き取りクレンジングなどが水性クレンジングに分類されます。

クレンジング力が強い?

水性クレンジングは、界面活性剤の作用でメイクを落とすため、多量の界面活性剤が配合されていて洗浄力が強いと言われていますが、実は、界面活性剤量も、クレンジングの強さも、製品によって様々です。

確かに、拭き取りタイプのクレンジングは、アイメイクなどのポイントメイクをしっかり落とせるように設計されている製品が多く、クレンジング力は高い傾向にあります。しかし、水性ジェルタイプのクレンジングでは、カルボマー(増粘剤)を配合してメイク馴染みを良くし、界面活性剤の配合量を抑えている製品もあります。

メイクとの相性があったクレンジングを使う必要がありますが、強いクレンジングよりも、できるだけ弱いものでメイクオフできれば、それに越したことはないでしょう。

濡れた手で使える?

夜にお風呂でメイクを落とす方も多いと思います。

水性クレンジングは、界面活性剤の作用でメイクを落とすため、濡れた手で使用しても洗浄効果は殆ど落ちません。

油性クレンジングは、水が加わると転相してO/W乳化が起こってしまい、メイク落ちが悪くなってしまいます。そのため、お風呂に入った直後、手や顔を濡らす前にクレンジングをするのがおすすめです。

ごく少量の水分では転相が起こらない製品もありますので、そのような製品では、手を濡らしてしまった場合でも、よく水分をきってからクレンジングを使えば問題ありません。

また、手が濡れていても、外層が油の状態(バイコンティニュアス構造)を保てるクレンジングオイルもあり、「濡れた手でも使えるクレンジング」として発売されています。

おすすめのクレンジング

「メイク落としのクレンジングは何を使ったらよいか?」と悩まれている方には、油脂系クレンジングをおすすめしています。

化粧品に配合される油脂のほとんどは植物油です。

油脂系クレンジングの良い点は、適切な油脂と界面活性剤との選択により、肌への負担が少なく、かつ、しっかりとしたメイク落ちを実現でき、洗い上がりもつっぱらないところです。

油脂(米油)
油脂系クレンジングは植物油が主成分

油脂系クレンジングの中でも、以下のような処方設計がなされている製品がおすすめです。

こすらないクレンジング

クレンジングの際に、擦することやマッサージをすることは、肌に大きな負担をかける原因となります。肌を擦ることで、以下のようなデメリットがあります。

  • 摩擦刺激により、くすみ・肝斑が増える
  • 物理的に皮膚を伸展させることで、肌がたるむ
  • 角質層のバリアが破壊され、乾燥する
  • 乾燥や紫外線に対する脆弱性から、シワ、シミが増える
  • 炎症を引き起こし、ニキビや毛細血管拡張の原因となる

油脂系クレンジングは、適切な処方設計を行うことで、メイクをさっと浮かせて落とすという油性クレンジングの特徴を持っています。擦る時間が短くて済む分、お肌の負担になりにくいのがメリットです。

ダブル洗顔不要

ダブル洗顔は、単純に洗浄成分を2回使用し、擦る時間が2倍になります。毎日ダブル洗顔を行えば、それだけ肌に対する負担は大きくなります。

ダブル洗顔不要のクレンジングでは、油脂との相性に合わせて界面活性剤の種類や配合量を適切に調整することで、水でスムーズに転相し、きれいに洗い流すことができるように設計されています。

エアポルールクレンジングオイルは、O/Wへの転相時に、油と水の界面張力が低下し、水の中に分散する油滴が小さくなるため(微細分散)、水ですすいだ時により成分が流れやすくなり、クレンジングとメイクの肌残り、二次付着が少なくなるように処方設計されています。

クレンジングを選択する際には、肌の負担を軽減するために、ダブル洗顔不要タイプのものがおすすめです。

低刺激のノニオン界面活性剤

クレンジングの処方設計では、肌へ刺激ができる限り少ない界面活性剤(乳化剤)を選択する必要があります。

エアポルールクレンジングオイルでは、セスキオレイン酸ポリグリセリル-2とカプリン酸ポリグリセリル-2の2つを配合していますが、どちらもグリセロール系の非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)で非常に低刺激です。

保湿クリームや日焼け止めなどの塗りおき製品のスキンケア剤には、ノニオン界面活性剤が配合されますが、近年、クレンジング、洗顔料、ボディーソープといった洗い流し製品にも、ノニオン系界面活性剤を配合する商品が増えてきています。

肌に優しいノニオン界面活性剤と油脂を配合することで、洗い上がりの乾燥やつっぱり感を防ぐことができます。

ただ、保湿クリームと同じノニオン界面活性剤を配合しているからと言って、クレンジングを洗い流さなくて良いわけではありません。一般的に、洗い流し製品に配合される界面活性剤量は、スキンケア製品に配合される量よりも多く、クレンジングオイルの中にメイク汚れを抱え込んでいますので、すすぎを十分に行うことをお勧めします。

参考文献とサイト